出会い系のヒミツは
しかし、彼の意図はデートだ。
またも闇鍋デートである。
当日、行ってみると、公園だった。
わざわざデートに選ぶくらいだから、きっとすごいシカケが待っているのだろう。
私は大いに期待した。
入場料も払ったことだし。
しかし、結論からいうと、なにも無かったのであった。
その日はあいにく気温が上がらず、えらく寒い1日だった。
ただでさえ寒がりなのに、見栄を張って薄着をしてきた私は、トイレを往復してばかりだった。
わざわざお金を払って、トイレに入りに来たようなものだ。
「少し、座りましょうか」ひと通り公園を回ったところで、彼が目の前のベンチをすすめた。
私は素直に従い、寒さにふるえながら彼の横に腰をおろした。
ベンチ以外、特筆すべきものはなにもなかった。
目の前はただ、枯れ木。
言葉の接ぎ穂が見つからない。
私はこの静寂を素直に受け止め、膜想にでもふけるべきなのだろうか、などと考えていた。
ふと、枯れ木にかけられた、ネームプレート?が目に入った。
「サクラ」。
「そろそろ咲いてるかと、思ったんですけどね」はずしたな、と思っているようだった。
でも私は、彼の気持ちが嬉しかった。
では、当たりのデートはどうか。
私のような場合は、そのレベルが悲しいほど低いことを、白状しなければならない。
彼は私を、遊園地、公園のほか、水族館や動物園にも連れて行ってくれた。
しかし、私がもっとも楽しいと感じたのは、本屋、だった。
それも、街のそのへんにある、何の変哲もない、普通の本屋。
そこをブラブラするだけの、ちょっとした時間が、私にはなんとも満ち足りた気分になれる時間だったのだ。
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